何気なく図書館で見かけた本。
著者の方も表紙の絵のことも全く知らずに、タイトルだけで
手に取った本でしたが、軽い気持ちで読み始めたわたしは
何度も深く心を指されたような読書になりました。
著者は料理家でエッセイスト。彼女の作品は初めて手に取りました。
タイトルから小説と思い込んで読み始めてしまったのですが、
エッセイでした。
気楽に読む文というより、しっかりと集中して
文章に分け入ることが求められるようなエッセイで構成されていて、
しっかりと味わいながらかみしめるようなエッセイ、
とお伝えしたらわかっていただけるでしょうか。
取り上げられるトピックも、身の回りのことからつながってはいるものの、
深く著者の中に掘り下げられていて、
その掘り下げ方がとても深く広く、
はっとする視点がたくさんありました。
簡単に手に取ってください、とは言えないエッセイですが、
深く物事を考える時間が欲しい時にはぜひ、読んでみてください。
現代のエッセイなのに少し古さを感じる日本画が表紙のところも、
読み終わった後は、この本にとてもふさわしいと感じます。