hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

母を想う 齋藤 彩『母という呪縛 娘という牢獄』

この本を小説だと思って予約をしていましたが、 実はルポタージュに近い作品でした。 作者は記者で、丹念に娘が母親を殺した事件の経過を追いながら、 なぜその結果に至ったのかにいて、 殺しにいたるまでの詳細に2人の生活を追って書かれたようです。 すご…

Simple is beautiful 『モン・サン=ミッシェルの修道女 四季の食事とていねいな暮らし』

来月わたしと子ども、義母でフランスへの旅行を控えていて モンサンミッシェルについての本を探していたところ、 この本に行きつきました。 美しい本です。 ていねいな暮らし、と日本語のタイトルには入っているけれど、 フランス語の原本ではただ「モン・サ…

ミステリーへの深い愛 へニング・マンケル『イタリアン・シューズ』

ヴァ―ランダ―という刑事を主人公にしたスウェーデンのミステリを読んで以来、 すっかりファンのスウェーデンの作家、へニング・マンケル。 普段わたしは気に入った作家がいると、その方の作品をごっそり借りてきては 読むのが習慣なのですが、 マンケルに関…

静かな表紙と戦争の話 ジャン=クロード・グランベール『神さまの貨物』

この本を見つけたのはpinterestにて。 表紙の絵が印象的だと思っていたら、大すきな装丁画家の方のものだと あとでわかりました。 中身は苦しい先の戦争中のお話でした。 戦争により、子どもがこのままでは死んでしまうと思った 収容所に向かう父親が、 電車…

目からうろこのことばかり 高橋真樹『「断熱」が日本を救う』

知らなかったことばかり! 目からうろこの本でした。 これから家を買ったり建てる方にはぜひ読んでいただきたい! と心の底から思った本です。 わが家は中古の30年越え(確か)一軒家をリフォームして住んでいます。 建物は古いですが、家の中はすべて安全な…

自分のためにきれいに過ごす 小林照子『45歳から変えていく50のこと』

40代の途中になって、 なんだか肌が色々荒れてきました。 元々肌は強くないので、気を付けているつもりなのだけれど、 数年間続いたマスクのあと気が付いたらぼつぼつができていました。 もうどうしようもないかな? と思った時、たまたま小林照子さんのから…

美しいものを愛する ビューラー&ロペス『ジョージア・オキーフとふたつの家』

大きな本だから、家に入れるのをすごくためらいつつも、 ほんとうは手元に置きたい愛する本。 わたしはジョージア・オキーフという画家を愛していて、様々な画集を 眺めてはため息をつきます。 この本はそのオキーフの2つの家の写真を集めたのものです。 砂…

旅に想いをはせて 内田洋子『海をゆくイタリア』

昨日まで一泊二日で長野に行っていました。 家族の軽い誘いで外泊キャンプについ付き合ってしまったのですが、 蚊の猛攻が記憶に残る滞在となりました…。 実は外で寝るのが結構苦手。 虫は蚊以外ならわりと平気ですが、 ずっとぶんぶんされると、やっぱり苦…

信頼するパンの本 幸栄『何度も作りたくなる四季のパン』

長崎から引っ越してきて、信頼するパン屋さんまで少し遠くなってしまって なかなか買うことができません。 自分で作ることも一応できるのですが、 その時頼りにしているのが幸栄さんのパンレシピ。 一次発酵は3時間と長いのですが、 卵を使う使わないが選べ…

50代を見据えて 『大人のひとり暮らし 住まいとお金』

生活をすることと、お金を使うことは切り離せないものですが、 そのお金の使い方について書かれた本はあまりなかったのが現実。 家とお金のお話もベールに包まれていたように感じます。 それがここのところ、こんな分かりやすい本がでてきたので、 とても助…

ゆっくりと差し出される親切 E.L.カニグズバーグ『ティーパーティーの謎』

親切ややさしさを、これみよがしに「大事にしようね」と差し出そうとする 物語がある。 いわゆる道徳の教科書に載りそうな物語たち。 この物語は上のような物語とは対極にあり、 親切ややさしさを、人にわからせずに最高のタイミングで そっと人に差し出すよ…

静かな世界を楽しむ読書 パトリック・モディアノ『カトリーヌとパパ』

この1週間、時間だけはあるので ずっと読んでいなかった本に手をつけています。 静かだけれど美しい物語『カトリーヌとパパ』も ずっと原書に挑戦しようと思いながらもトライできずにいましたが、 ようやく全部読み切ることができました。 だけれども全部は…

休めない日本の根幹 保坂亨『学校と日本社会と「休むこと」』

日本にいるときは何にも思わなかったことの1つ。 電車が時間通りに来る。 荷物が時間指定の通りに届く。 レストランで何も言わずに水が出てくる。 フランスで暮らしていたころ、 電車はストで止まることがある。 荷物はたまになくなることがある。届かない。…

全く知らない方の意見を聞く 後藤由紀子『毎日のこと、こう考えればだいじょうぶ。』

今週は月がおやすみだったから余裕のある週のはずなのに ぜんぜん余裕がなくてへとへとでした。 きっと夏休みが近くて、気が緩んでいるせいでしょうね。 1学期間、結構わが家には変化がありました。 そんな疲れ切った中で読みたいなと思うのは、 暮らしのこ…

「味わい何度もかみしめる」のカテゴリー ラバスキス『葬られた本の守り人』

このブログには、「味わい何度もかみしめる」 というカテゴリーがあります。 どんな本をここに入れているかというと、 読んだ後に本を通じて知ったことを軽々しく口にできないような、 少し重めのテーマを扱った本だったり、 小説でも何度もその場に自分がい…

映画とおいしいもの 宮下奈都『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。』

先日『ワンさぶ子』の本を紹介したのですが、 ずいぶん前に同じ著者のこちらも読んでいたのでした。 おいしいものがいっぱいのエッセイは、 それだけで本当に読んでいて楽しいものですが、 それが宮下さんのエッセイとなれば、 それはそれはもう、期待を裏切…

宗教とジェンダー ドナ・W・クロス『女教皇ヨハンナ』

少し前にビーターラビットの作者が主人公の、ミスポターという映画を観ました。 ポターが生きていた時代は、まだまだ女性が地位や名誉の釣り合う人と 結婚しなければならない時代。 独身だったポターが自ら自分の人生を切り開いた様子は、 とても印象的でし…

他人事にならないこと ルー・バーニー『7月のダークライド』

文庫で見つけた本ですが、少し重かった。 主人公は大学を中退し、アルバイトをして生計を立てている青年。 人を助けることなど考えもしなかった日々の中で、 あるとき公共の施設でたばこの跡がついている子どもに出会います。 そこから彼らを救うべく公共の…

家族とのかけがえのない時間 宮下奈都『ワンさぶ子の怠惰な冒険』

普段は立ち寄らない図書館で出会ってしまった美しい表紙の本。 宮下さんの本は小説も何冊も読んでいます。 だけれども、彼女の作品の中ではエッセイがとても好きで くすっとわらってしまうことがたくさんあるので、 すごく読んでいて幸せな読書なのです。 な…

おいしい=はれのごはんではない 稲垣えみ子『アフロえみ子の四季の食卓』

先日、ぬか漬けのことを書きましたが、 その貴重さ、ありがたさを裏付けする本をまた読んでいました。 冷蔵庫なし生活をしている稲垣さんの料理の本です。 冷蔵庫がないから、基本野菜は干す・漬けるしかないそう。 調味料も砂糖は使わず。 買ってきたその日…

今の平和をかみしめて モハメッド・ビダ『カブール、最悪の13日間』

これは、アフガニスタンのフランス大使館で勤務していた方の 緊迫のルポタージュです。 それまでのアメリカによる支配が終わり、 タリバンが中心となった政権に代わるとき、 安全だった大使館エリアが一気に緊張感の高まる場となり、 国外へ戻る人をとにかく…

おいしいものは自分で作る 有元葉子『ぬか漬け帖』

先日、久しぶりにおいしいお蕎麦屋さんに行った時のこと。 お通しのぬか漬けが美味しくておいしくて、レジにも売っていて 子どもに買ってくれとせがまれました。 他の物も買っていたので、 その時ぬか漬けを買わなかったら、 「ぬかづけ…ぬかづけ…」 と呪い…

ほっとする家を見る 『衣 食 住 「あたりまえ」の見直し』

子どもが学校で骨折をして、てんやわんやの水曜日。 夜まで病院にいて、疲れ切って帰ってきました。 当たり前の毎日がどれほどありがたいものか、 また痛感しました。 そして医療従事者の方のプロフェッショナルさに、 感謝の気持ちでいっぱいです。 そんな…

お餅大好き 飛田和緒『お餅の便利帖』

お餅が大好き。 一番食べるのは、きなこ。 その次に、しょうゆ砂糖。 知人の家でお餅を大福代わりにして、 いちご大福にしたときは衝撃的だったなあー。 大福=ぎゅうひと思い込んでいましたから。 そんないちご大福の衝撃をさらにくつがえす お餅のバリエー…

家族だからこその学び 『お父さんのための言いかえ図鑑』

先日も、家族間の会話でいらいらしたことがありました。 そんな時、この本を手に取って読んでみたらまあすっきり! 具体例があまりにもわが家にせまるので、 ぶんぶんうなずいて、 最後はわかってもらえた安心感でいっぱいになり、 ちょっぴり涙まで出てしま…

逆輸入で日本文学を読む 『須賀敦子が選んだ日本の名作』

(画像をお借りしています) 須賀敦子さんの本を読んだとき、この日本文学を編集され、 翻訳されたというくだりが出てきました。 特に気になったのは『道』という作品。 なんということはないと須賀さんがおっしゃっている 日常を読んでみたくて、手に取りまし…

移民、フランス ハン・ユンソプ『ボンジュール、トゥ―ル』

わが家では朝日小学生新聞をとっているのですが、 その書評で紹介されていた本を読んでみました。 主人公は韓国から親の仕事の都合でフランスに移り住んだ男の子。 パリからトゥ―ルという小さな街に引っ越すことに。 そこで借りた家の机に、ひっそりと彫られ…

人の善意と悪意 マイケル・モーパーゴ『月にハミング』

この本の主人公は作者の祖母。 実際にあった物語を主題としています。 戦時中のある日、突然イングランドの島に流れ着いた女の子。 口を利くことができず、なぜそこにやってきたのかわからない状態で ある家族に迎え入れられます。 口がきけなくても過去がわ…

わたしの宝物の本 石川理恵『身軽に暮らす』

先日完全な引越しを終えて、 向こうの家に置いておいた本が全て手元に戻ってきました。 その時にすぐ手に取ったのがこの『身軽に暮らす』。 なぜ、今までブログで紹介していなかったのかしら? それくらい、大切に大切に読んでいる本の1つです。 なぜ何度も…

4年生の読書 ハリー・ポッター

10歳になったばかりの時に、子どもが親しくしている友人から ハリー・ポッター第1巻をいただきました。 その後しばらくはこのボリュームだし、手に取らずにいましたが 夜少し読み聞かせをすると、自分で読み出しました。 それからはあっという間。 ほんとう…