hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

味わい何度もかみしめる

余っている土地と増え続ける太陽光パネル 高橋久美子『その農地、私が買います』

このところ、空いている土地が太陽光パネルになる状況を多く見かけ、 これは本当に環境に良いのだろうか、と疑問に思うことがありました。 土地はコンクリートで覆われ、近づくことは禁止され、 なにより見た目が美しくない。 そんな時に見つけたこの本は、…

(番外編)テレビ番組 ドキュランドへようこそ

今週はなんとなく、映画とテレビのご紹介になっています。 テレビは特定のものを録画して、オンタイムでは全く見ない生活を しています。 深夜放送のため、録画があるから観られる 「ドキュランドへようこそ」。 去年から観つづけています。 www.nhk.jp 世界…

できれば無理なく行いたい母業 朴沙羅

すてきな装丁と、面白いタイトルに惹かれて読んだ本です。 著者の朴さんは日本の方ですが、 「外国で暮らしてみたい」という想いを実現するために、 仕事の見つかったフィンランドへ移住されます。 生活をしているので単なる旅行記ではなく、 子どもの受ける…

自分が大切にしたいこと Emi『揺れ動く今みつけたいわたしの真ん中』

日本製の製品を丁寧に販売されているOURHOMEさん。 ここ数年、OURHOMEさんの品物が少しずつわが家で増えています。 元々整理収納の記事で知ったEmiさんが主宰されているブランドですが、 時々オンラインショップをのぞいて、合うものを探しています。 彼女の…

本当は怖いスマホのこと アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』

最近、意識的にスマホを触る時間を減らしました。 スクリーンタイムというiphoneに入っている機能もOnにして、 とにかく目につくところに置かない。 自分とスマホの関係で「ちょっとこれは変えた方がいいのでは?」 と思ったきっかけは、Netflixで何かテレビ…

やっと読めた本 今西祐行『浦上の旅人たち』

今日、長崎は去年の7月のような大雨。 目の前の川の様子を見ながら、このブログを書いています。 雨なので読書が進む、進む。 最近図書館で出会ったこの1冊を今日は読み終えました。 長崎の隠れキリシタンの方々が弾圧をうけている頃の時代を描いた、 子ども…

心がぎゅっとつかまれる本たち 上間陽子『裸足で逃げる』+『海をあげる』

夏休みは更新が遅れがちに…。本は変わらず息をするように読んでいますが、 ご紹介が追い付かない…。 ぼちぼち更新ですが、時々のぞいてくださるとうれしいです。 さて今回は前から知ってはいるものの、なかなか手に取ることができなかった 1冊、そして同じ著…

季節には合わないけれど… ローラ・インガルス・ワイルダー『長い冬』

時折、むしょうに大草原の小さな家シリーズを読みたくなることがあります。 それも、全部一気に初めから終わりまで。 どうやらその衝動は毎年あるようで、2年前も記事にしていました。 hon-nomushi.hatenablog.com 大草原の小さな家シリーズは、訳も装丁もい…

ごはんの支え、生きていく支え 有元葉子『家族のごはん作り』

家事の中でご飯を作るのは嫌いではないけれど、 それでも毎日のことだから、やっぱり作りたくない日もあります。 疲れていたり、体調がいまいちだったり。 そんな時にふんどしを締め直すために手に取る本が 『家族のごはん作り 1』です。 「はじめに。」と…

美しいという表現がすべて ジャン・ジオノ『木を植えた男』

いつものようにふらふらと図書館を歩いていたら、 ふと目にとまった作者、ジオノの文字。 「どこかで、どこかで…」と思い返して、 家にあるこの絵本を思い出しました。 きっとご存知の方も多いでしょう。 美しいアニメーションにもなっている『木を植えた男…

GWこもり時間におすすめ①  エレナ・フェッランテ作「ナポリの物語」

須賀敦子を再読するようになって、イタリア文学コーナーをうろうろするようになりました。そんな中、美しい本が目に留まり、手に取ってみたのがこの「ナポリの物語」。 久しぶりにしっかりとした文学に触れた数日間! ’全世界的ベストセラー’の一言でつい借…

人と本が出会う時 冨原眞弓『ミンネのかけら』

わたしは人と人とが出会うきっかけや、今住んでいる街にどうやって出会ったのか、 はじまりの部分にいつも興味があります。 本に関しても同じで、人がどうやって本と出会ったのかを聞くのが大好きで、そこを語る本を見つけると、わくわくして本を開きます。 …

生きることが辛いとき ステファニー・ランド『メイドの手帖』

ある休日、この本を読み始めてから途中でやめることができず、 キッチンの椅子に座ってずっと集中しきってしまったこの本。 この読書の間、わたしは確実に主人公と一緒にいました。 時に涙を流したり、明らかに心ここにあらずのわたしを見ていて、 家族はさ…

人の見えるところ、見えないところ E・L・カニグズバーグ『ムーンレディの記憶』

子どもの頃から読んでいる、(わたしにとって)長い付き合いの作者が新しい作品を発表していると、心の底からワクワクします。この作品の作者、カニグズバーグの作品とは小学校からのお付き合い。 『ムーンレディの記憶』は2008年に出版されたものなので、決…

本屋さんとアマゾンの違い 『「幸せ」をつかむ戦略』

コロナ自粛後わたしの初めての買い物は、本屋さんでした。 あの時間の充実、楽しさ。アマゾンで本は購入できていたはずなのに、 なぜ本屋さんでこんなにわくわくしたのか、自分でもよくわからずにいました。 その謎を解いてくれたのがこの本です。 心理学と…

【番外編】映画「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

あの9.11が起きた朝、わたしはカナダのトロントにいました。 大学生で、初めての海外旅行中。数日間中学校にお邪魔するプログラムの最中、あの日の朝だけは教室で皆とラジオを聞いたのですが、そのころの英語力では何が起こっているのかが分からず、家に…

新たに出会う児童文学 V.ハミルトン作『わたしは女王を見たのか』

子どもと一緒に図書館をうろうろしていて、児童文学コーナーで見つけた1冊。 タイトルがとても印象的なので、わたしが子どもの頃から目には入っていたのですが、 この独特な絵の美しさが当時はわからず、読んだことのない作品でした。 始めて作品を読んでみ…

家にある本を読み返す時間 マリア・グリーべ『夜のパパ』

引越しに関わらず、世間はコロナで大変な状況になっていますね! 最近わたしは家にある本を読み返して、新たな楽しみを見出しています。 今回の引越しでは捨てずにたくさんの本を持ってきましたが、荷造りが大変だったのでやっぱりもう少し厳選しよう!と決…

素直な意見が胸にささる 坂本菜の花『菜の花の沖縄日記』

去年知人夫婦が面白い学校にお子さんを入れるため、高知へ移住されました。 今は公立や私立だけではなく、子どもの特性を生かすような学校がたくさんあるようですね。私自身は大学以外、ほぼ公立で育っているので、勉強以外に特化した新しい学校に興味津々で…

時間が交差する物語 富安陽子『ふたつの月の物語』

わたしが本を選ぶとき、児童文学作品と大人向けの作品という区別をすることはほとんどありません。図書館では子ども向けコーナーでも必ずうろうろ。図書館全体を歩いて目に止まる本を探します。 たまたま子どもコーナーを歩いていて、見つけたのがこの作品。…

雨だから楽しむ読書 アン・M・マーティン『レイン』

今年はなかなか雨が上がりませんでしたね。おかげで布団やらダウンやら、洗ってしまいたいものがしばらく和室に放置されていました。リサイクルショップに持ち込み予定の食器(ガラスコップ2、マグカップ1、ちょっと大きなお皿1)もずっと出せずにいまし…

つながって出会う作品 ヤマザキマリ『国境のない生き方』

先日、職場で山崎洋子さんの話になりました。確か「イタリアのことをよく書かれているエッセイストの方で…」というつながりだったと思います。そこからイタリアの話になり、ある方が「『テルマエ・ロマエ』のヤマザキさんの本が面白いですよ。」と教えてくだ…

再び今江祥智さん 今江祥智『大きな魚の食べっぷり』

ブログを開設して3年がたったお知らせがきました。更新はマイペースですが、本は変わらずたくさん読んでいて、自分の記録のためにも続けていきたいなと思っています。いつも読んでくださる方、ありがとうございます。ブログから本とつながり、楽しい読書タイ…

夏になると読みたくなる本 高田桂子『透きとおった季節』

数少ない蔵書の1つ。子どものころに読んで忘れられない1冊となり、大人になってから買い求めた本です。 主人公は小学生のアキ。お人形のように美しく、勉強もできて非の打ちどころがない子。お母さんは洋服のデザイナーでとてもお金持ち。完璧すぎるゆえに友…

読み返し、続きのある喜び 梨木香歩『西の魔女が死んだ』

『西の魔女が死んだ』 なんて衝撃的なタイトルでしょうか。児童書研究の論文を読んでいた時、子どもと死に関する本の中にこのタイトルがありました。タイトルゆえに忘れられなくて、それから手にとった梨木さんの本。最近行った図書館の大人むけコーナーで、…

あったことをわすれない 伊藤詩織『ブラックボックス』

今まで紹介してきた本とは異なるノンフィクション。 作者は仕事で知り合った人に暴行され、その事実を自分で書き、本になったのがこの著書。ただ時間の尺度では過去のことだけれど、著者は何度も何度もその時間を繰り返し再生し生きて、この本を書かれたのだ…

読み応えのある児童文学 本木洋子『蘇乱鬼と12の戦士』

ゆっくり更新になりつつあるこのごろ。4,5月は新しい仕事でなかなか更新できませんでした。でも、変わらず読書は欠かせません。むしろ忙しいときに読書に没頭すると、気持ちを切り替えるのにとても良いです。 さてそんな忙しい合間読書ながら、最後まで一気…

美しいものを見る目は育つ 津上みゆき『時の景』

先日石垣島のことを知りたくて本を探していた時にはっとしたのは、 小川糸『ようこそ地球食堂へ』の表紙の美しさでした。 hon-nomushi.hatenablog.com 初めて読んだときは中身ばかりに目が行っていましたが、 改めてみてみたら美しい表紙に目を奪われました…

毎日のことをバロメーターに 益田ミリ『前進する日も、しない日も』

わたしが家事の中で一番苦手なもの、それは洗濯。多い少ないが日によって違うことや、日によってモノが違うので、予測できないところが苦手ポイント。 「取り込んでたたむ、しまう」がわたしの担当ですが、あまりに多いと息苦しくなってきます。たいてい、し…

遠くて近い世界を味わう ローズマリー・サトクリフ『ケルトの白馬』

イギリスを代表する児童文学作家、サトクリフのことは大学の児童文学授業で良く耳にしていました。でも元気な時や余裕があるときでないと、サトクリフの重厚な世界に押しつぶされそうで…。いまだに読破できていない、気になるけれどなかなか手にとらない作家…