hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

Falling love with 主人公

たまにはハードボイルドを バリー・ランセット『ジャパン・タウン』

図書館をうろうろしていると、普段は手に取らない本が目に入ってくることが あります。これこそ、ネットショップではない実際に手に取ることのできる本の 醍醐味だと思うんです。 本当は本屋さんでこれができたらいいのだけれど、うちの周りは今 あまり本屋…

南と北に惹かれる人たち 石川直樹『極北へ』

あるとき、さりげない会話からヨガの先生と旅行をするとしたら どこに行きたいか、と話したことがありました。 (コロナの前です) それぞれ行きたい国や地名をあげていっていたら、 ヨガの先生はとにかく暖かいところ、 わたしは寒いことで有名なところばっ…

人の生き方を知る 吉本由美『イン・マイ・ライフ』

すてきな本を見つけました!吉本由美さんの人生をつづった本です。 吉本さんの生活に関しては、大好きなこの本や、 hon-nomushi.hatenablog.com 村上春樹さんと旅をする本などで良く読むことがあって、 彼女の文章が大好きです。 今回の本は、 前半は子ども…

いかめしい表紙の向こう側 K・M・ブリッグズ『魔女とふたりのケイト』

時折図書館で、以前読まれたのはいったいいつなのだろう、 と思う本に出会うことがあります。 古びていて何年もそこにあるような本。 でも、出会って読まれた時には、 その人が一生その本を読んだことを忘れないような一冊。 この『魔女とふたりのケイト』も…

身近なSDGsテーマ 神戸遥真『ぼくのまつり縫い』

朝日小学生新聞、という小学生向けの新聞に広告が載っていたことで知った、 『ぼくのまつり縫い』。 とってもとってもよかったので、ご紹介します。 主人公は中学生。まつり縫いで巾着を作るのが趣味。 たいがいの手芸はこなす手芸男子です。 でも中学生だか…

今更ながら… 岩崎夏海『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』

今更ながら…ですが、家族が借りていたのでつい手に取った本。 本当に面白かった! 読み終わった後感動して泣いてしまったほどです。 経営や経営学には本当にうとい文学部出身のわたし。 一度だけ大学で授業をとってみたけれど、やっぱり合わなくて早々に リ…

時代を超える物語 高楼 方子『黄色い夏の日』

今年の4月から、小学校の図書館で仕事をしています。 できるだけ図書館にある本を読もうと思って、今まで知らなかった 作家の方の本も手に取るようになりました。 あまり読んだことがなかった高楼 方子さんの本に出会ったのも、 仕事先の図書館に作品があっ…

没頭できる物語 菅野雪虫『ヤレイスーホ』

大人になってから架空の世界の物語を読むと、あんまり世界にどっぷりつかれなくて 悲しくなることがあります。けれども時間を忘れて読んでしまう物語も 確かにあって、この1冊も本当にどっぷりと異世界にはまることができる物語です。 作者のお名前が特徴的…

外側も内側も美しい本 エルメス財団編『木 Le Bois』

外側だけ見たら何の本か、全くわからないと思います。 しかも外箱は真っ白。箱から取り出してみて、ようやくこの中身が出てくるんです。 美しい本。 中身は木について、さまざまな学者が論じたり、 アーティストは写真を載せたり、作品の写真が載っていたり…

本も人も出会うもの アン・ブラッシェアーズ『トラベリング・パンツ』

先日読んだ続編を借りてきました。 hon-nomushi.hatenablog.com トラベリングパンツ、続編2冊。 1が素晴らしかったので、そのあとを読むのが本当に楽しみだったのですが、 期待を裏切らない面白さでした。 子どもを寝かしつけて寝てしまった後、はっとして…

ティーンエイジャーにもおすすめ 『トラベリングパンツ』

偶然図書館で見つけたこの本に感動。 読み終えた時、深呼吸して素直に涙が流れました。 中学生、高校生の頃、わたしは本難民でした。 子どもの本が大好きで、たくさん読んで過ごしていた小学生時代だったのですが、中学生になると何を読んでいいのかわからな…

時間と魔法 廣嶋玲子『十年屋』シリーズ

まだ読んだことはないのだけれど、子どもたちがこぞってかりていく 廣嶋玲子さんの「銭天堂」シリーズ。 あまりの人気にわたしも作者の本を読んでみようと思って借りたのが 十年屋。 素直な感想は、「おもしろかった!ほんとうに」です。 十年屋は、魔法使い…

やっぱり良かった、バーティミアス!

hon-nomushi.hatenablog.com GW、いかがお過ごしでしたか? わたしは予定通りバーティミアスの本を読んだGWでしたが、 内容に驚きました。 正直なところ、子どもたちが読んでいたので、あまり面白くないのか、 読み応えがないのかとたかをくくっていましたが…

須賀敦子作品との出会い 稲葉由紀子『須賀敦子のフランス』

以前須賀敦子作品との出会いが何だったのか、忘れてしまったと書いたのですが、 ずっとずっと読み続ける本 須賀敦子『須賀敦子全集』 - hon-nomushi’s blog (hatenablog.com) この本を再び読んだときに思い出しました。 地元の図書館でふと手にとったこの本…

現実と非現実の間 安房直子『花豆の煮えるまで』

小学生の頃、古本市で安房直子さんの本を初めて買って読みました。 そのころのわたしは、日本の作品を読むことはほとんどなかったのですが、 安房直子さんの作品だけは繰り返し、何度も読みました。 そしてその一冊は、今も手元にあります。 安房直子さんの…

ずっとずっと読み続ける本 須賀敦子『須賀敦子全集』

須賀敦子さんの名前を初めて聞いたのは、確か大学の発表の場でだったように思います。ユルスナ―ルを研究されていた方の発表に、大学の先生たちが「須賀敦子」という名前をおっしゃったことを覚えています。 大学図書館ではめずらしい彼女の水色の書籍が地味…

テレビと一緒に楽しむ名作 モーリス・ルブラン『怪盗紳士ルパン』

皆様はネットでオンラインの番組はご覧になりますか? わたしは最近、ネットフリックスで面白いドラマを見つけ、 すっかりはまっています。 www.bing.com それは、ルパンです。 英語なら様々な面白い番組があるのは当たり前だけれど、 フランス語のドラマを…

(番外編)映画 ランダムハーツ

まだ実家で暮らしていた大学生の頃、初めて自分用のノートパソコンを買いました。 SonyのVAIO。今のようにタブレットやスマホがない時代でしたし、機械関係にうとい実家では、家族と一緒にテレビを見るしかなかったので、ひとりで映画を見るというのはあこが…

久しぶりに出会ったしまちゃん 群ようこ パンとスープとネコ日和シリーズ

「面白かったー!」と時間も忘れてよみふけってしまう本に出会うと、本当に幸せです。しかもそれがシリーズだとさらに幸せが倍。 群ようこさん原作の「パンとスープとネコ日和」。テレビでご覧になった方もいらっしゃると思います。こちらには原作があって、…

1年生になったら マリア・グリーぺ『ヒューゴとジョセフィーン』

わが家の子どもが1年生になりました。 1年生になったらぜひ一緒に読みたいなあと思っていたのが、この本です。 前回ご紹介したのと同じ作家、グリーぺの『ヒューゴとジョセフィーン』です。 わたしがグリーぺを好きになったのは小学生のころ、別の作品を通し…

大人になって楽しむファンタジー ジョーン・エイキン『バタシー城の悪者たち』

すっかりご無沙汰をしてしまいました。 この一か月のばたばたといったら…とは言っても、お正月にのんびりしすぎただけなのですが。いつもと変わらずたくさんの本を読んでいる一年になりそうです。どうぞ今年もよろしくお願いします。様々な本や生活の色々を…

子どもと出会うあたらしい本 太田大八2冊

子どもの通う保育園にある本棚には、本当に古くてぼろぼろの本がまぎれています。 もともとソフトカバーで紙が弱いせいもあると思いますが、どれだけ長いことここにあるんだろう、と思うような作品も。でも古いから汚れているからといって、内容も古いわけで…

チャレンジする勇気  マーヤ・ヴァン・ウァーグネン『マーヤの自分改造計画』

年末に写真の整理をしていたところ,新聞の下の広告欄にて見つけていたこの本の 情報が出てきました。早速借りてみると、内容に深く感動したのでご紹介します。 著者は主人公でもあるアメリカのティーン。たまたま見つけた1950年代の人気者になる本の様々なア…

好きな場所で暮らすこと 小川糸『針と糸』

楽しみにしていた本が届きました。小川糸さんのエッセイ。ベルリンでの生活や、ベルリンと出会ったいきさつ、街の様子、ご自身の暮らし。何だか本の中に埋もれてしまいそうになりながら、一気に読み進めてしまいました。 街のオンとオフがはっきりしているこ…

(番外編)Love actuallyの思い出

めずらしく多忙な10,11月を過ぎてほっとした12月。気が付けばクリスマスも年末もあと少し。片付けもたくさんしていますが、そういえば記事にしていなかったことに気付きました。来週は少しずつアップしていきます。 さてクリスマスと言えば!の映画「ラブ …

エッセイ+小説のサンドイッチ 小川糸『喋々喃々』

先週、図書館にて小川糸さんのエッセイをなぜか大量に借りて、読んでいたところすっかり著者のエッセイにはまってしまい、小説までよみふけっている最近です。 エッセイ→小説→エッセイ、と幸せなサンドイッチ読書をしています。 思えば小川糸さんの小説はた…

夏の休暇はこの作品 リンドグレーン『わたしたちの島で』

夏になるとスイカやとうもろこし、枝豆を味わうように、夏の読書に欠かせない作品。 『わたしたちの島で』。 わたしが作者リンドグレーンを知ったのは小学2年生。やかまし村シリーズが大好きになったとき、初めて作者や舞台となった国を知りたい、と思ったの…

ひとりの時間の物語 いぬいとみこ『山んば見習いのむすめ』

今日、わたしの住む地域では風が強くて、春のようなあたたかさ。 春を迎えたらもう一度読もうと思っていたこの本を手に取りました。 子どものころは外国のお話ばかり読んでいましたが、大人になった今は、日本の物語にとても心ひかれます。いぬいとみこさん…

全集だってお友達 田辺聖子『田辺聖子全集5』

子どものころ、習い事の先生から不要になった「世界児童文学全集」なるものを大量に譲っていただいたことがあります。それは国別に有名な作品がおさめられている文字通りタフな全集でしたが、それはそれは愛読したものでした。 興味のない国の全集はなまいき…

世界にはまる 小川糸『ツバキ文具店』

今日わたしの住む街はお天気でとても気持ちの良い日ですが、この本はぜひ雨の日におすすめしたい一冊。久しぶりに手元に置いておきたい作品でした。 ツバキ文具店を営む主人公。亡くなった祖母から代筆やという人に代わって手紙を出す仕事も請け負っています…